お焼香の意味について(正月は坊主のオーハラです。)
仕事で法事に行った時、皆さんのお焼香の仕方を盗み見してるわけじゃないけど、
皆さんが、バシッと手を合わせるのに とまどいがあるようにみえます。
で、皆さんは、どうするかといいますと、安全な方法をとっている。
前の人をじーとみて、忘れんうちに、すぐに出る。
手を合わしてお辞儀する。
お焼香して、手をあわしてお辞儀。
もう一つやっといたら間違いないやろと お辞儀をする。
これは、儀式といいますか形だけが真似られているから とまどいますかね。
そこで、今回は、どの場所でも自信をもってできる お焼香。
ということで、お焼香の目的を理解して頂こうと思います。
焼香の歴史は古く『維摩経』という経典の中にお香のいろいろがでています。
古来、当時の人々の意識としては、人間の身体からでるものは汚れている。体臭や息など。
仏壇のロウソクをフッと吹いて消すとおこられてきたように、手やうちわで消してきました。
それは、人間の汚れた息を道具にして仏の灯明を消すのはアカンという名残からだそうです。
維摩経のお香の効能効果としては、清らかなものに転換するもの というそうです。
床や壁にお香を敷き詰めた清らかな場所で仏を安置する、大切な役割としてお香は考えられてきました。
登礼盤 (とうらいばん )の時に(仏さんの正面に坊主が立つ時)、塗香(ずこう)といって、坊さんも香木のパウダーを袈裟の上から胸に当て塗る儀式をして、清らかになりました。
つまりお焼香の目的は、汚れたものから清めたものに転換すること。
現代風でいうと、風呂に入って身も心も清らかになって仏さんにお参りしましょうということ。
というわけで、
皆さん 焼香の前に立った時は 汚れていると思って下さい。
そして お香をくべて煙が立ち上がるのを見届ける。
これが儀式として、身も心も綺麗になりましたというプロセスです。
正しい順序
①お焼香台に来ました。
②前を向いたまま、目線を後ろに向けて、お先にお参りさしてもらいますと、後ろの人に軽く両サイドに会釈。
③向き直って、お香をつまんでくべる。煙が出るのを確かめる。そこで清らかになる。
④合掌 礼拝
⑤正面を向いたまま、目先を後ろに向けて、へえ お先でしたと会釈する。
ここで問題がある。
それは回数である。
お焼香をくべるのは何回がよいかとか。
正直にいうと坊さんはわからん。
冠婚葬祭の手引には2~3回がいいとありますが。
お焼香の作法は各宗派が定めたもので、
例えば
天台宗、浄土宗は何回でも よろしいと。
真言、日蓮宗は3回。
禅宗はきちっとおでこの前にささげて2回。
浄土真宗は、東本願寺の場合は おでこまで焼香を頂かずに つまんで落として2回。
西本願寺は、焼香をおでこまで頂かずに、つまんで落として1回。
つまり、自分の家のかかりつけお寺に聞いてみるのが一番 確かかもしれません。
さて この話をきいて。
他の家に行かれた時に、ここは真言宗やったかしら。行った先が浄土宗だったら とか。
お焼香を何回するかなんて 忘れちゃうじゃん。
では、どうしたらいいか。
その場合は自分の宗派の作法を通してもらうといい。
東京で友人が亡くなった時、牧師さんは焼香はせず黙礼をして退場しています。
皆さんも、焼香の目的 理由をしって とまどうことなく自信をもってお参りして下さい。
ついでですが、昔 古来 日本の人々は、たしなみとして自分の香りをもっていました。
自分のオリジナルの香りがあり、「あっ紫式部が通った ポっ❤」 とか 香りで分かったものだそうな。
明治以降、ヨーロッパなど香水が市場を占めてきました。
お香は、小さなかけら一つで約2~3000円。
今では、伝統的なオリジナルのお香を持っているのは、古い坊さんか、お茶・花の先生ぐらいかも。
一般的には、持ち合わす習慣がなくなりました。
そのため、よその家に行って、お焼香をする時、
大変 高価な お香を行った先で使わせてもらう事になる。
古来より、たしなみとしてもっとかなければなりませんけれども、
さしょうでありますが持ち合せがございませんので
お香典としました。
と、本来の香典の意味はそういうところにあります。
合掌。
牧丘 オーハラ千心(ちしん)の正月法話。